玻玖とは、“愛”というものの感じ方がまったく違ったから。


これ以上なにを話したところで、話は一方通行をたどるだけ。

交わることなど決してない。


玻玖との『デート』というものも、夕食の時間も本当に楽しかった。


しかしそれは、今思えばただのまやかしだったのかもしれない。


そう思ったら、少しだけ心が軽くなった。

両親からの“愛”を注がれたいために、ここで玻玖の命を奪おうと。


「『好きになる理由』…か」


背中から、玻玖の声がぽつりと聞こえる。


「和葉、それは前にも言っただろう。呪術なんて関係ない。俺は、和葉と夫婦になりたかったのだと」

「しかし、わたしたちはまだ片手で数えるほどしか会っておりません。よく知りもしない相手なんかに、愛など――」


そう言って、振り返った和葉は息を呑んだ。