湯呑みの中には、警戒して少し強張る和葉の顔が映っていた。


「夕食の途中から顔色が悪かっただろう?それが少し気になってな」


玻玖の言うとおりの、夕食の途中で玻玖の暗殺計画を思い出し、気分がよくなかった和葉。

これから人を殺そうというのだから、無理もない。


しかし、そうとは知らない玻玖は、純粋に和葉の体調を心配していた。


「まあ、知らない屋敷にきたんだ。気疲れもするだろう。それを飲んで、今日は早く休め」


それだけ言うと、玻玖は立ち上がった。


「だ…旦那様…!?どちらへ…!?」

「ん?俺の寝室はあっちだからな。もし他になにか必要なものがあれば、遠慮なく言いにくるといい」


そうして、本当に部屋から出ていこうとするのだ。


結婚初夜であるから、今夜は一晩ともにするものだと思っていた。