「呼んだか?」


すると、突然後ろから声が聞こえる。

驚いて振り返ると、そこには金青色(こんじょういろ)の寝間着姿の玻玖が。


「和葉。そんなところに座っていないで、早く部屋へ入れ。この時期、まだまだ夜は冷えるからな」


玻玖は和葉を部屋の中へ入るようにと促すと、自分も障子を閉めて入ってきた。


…いよいよだ。


ごくりとつばを呑み込むの和葉。


玻玖は遠慮がちに正座する和葉のもとへ歩み寄ると、目の前で腰を下ろした。


覚悟を決め、ギュッと目をつむる和葉。


――すると。


「飲むといい」


そんな声が聞こえてゆっくりと目を開けると、和葉の前には白い湯気が立つ湯呑みに入ったお茶があった。


「こ…、これは?」

「今淹れてきたところだ。体が温まるだろう」


なぜお茶を出されたのかわからない和葉。