「許すもなにも、夫婦だろ?和葉と過ごすなら、たくさん笑い合える毎日がいいに決まっている」


玻玖の言葉に、和葉の冷え切った心に小さなやさしさの灯がともる。


玻玖は和葉を支配しようとも、便利な駒にしようとも思っていない。

上下関係などなく、妻として隣に寄り添って歩いてほしいと考えている。


「…東雲様。ありがとうございます」

「ん…?なにかお礼を言われるようなことでもしたか?」


首を傾げる玻玖に、和葉はにっこりと微笑んだ。


「そういえば、和葉。気になっていたのだが…」

「はい…?」

「せっかく夫婦になったのだから、『東雲様』はやめてくれないか?」

「…それでは、なんとお呼びしたらよろしいのでしょうか」


和葉が尋ねると、玻玖は一瞬言葉に詰まった。

そして、少し恥ずかしそうにつぶやく。