「子どもではないのですから、お食べになってください!玻玖様は、和葉様の立派な旦那様であらせられるのですよ」

「そう言われてもなぁ…」


最高の呪術師である神導位でありながら、にんじんが苦手という欠点を持つ玻玖。


「フフフッ」


それがおもしろくて、和葉から笑い声が漏れた。


「…はっ!も…申し訳ございません!!わたしとしたことが、つい…」


当主を笑ってしまったことに、慌てて頭を下げて謝る和葉。

そんな和葉に、立ち上がった玻玖がゆっくりと歩み寄る。


足音に震える和葉。


玻玖は和葉の肩にそっと手を添えると、頭を上げさせた。


「なにも謝ることはない。和葉の笑顔が見れて、俺もうれしい」


そう言って、微笑む玻玖。


「東雲様を笑ってしまったというのに、許してもらえるのですか…?」