「古くさい家だが、住み心地はそこそこいい」

「とんでもございません…!とても素敵のお屋敷です」


呆気に取られながら、車から降りる和葉。


「「玻玖様、おかえりなさいませ」」


屋敷の外では、たくさんの着物姿の使用人たちが列をつくって出迎えた。

その使用人たちも全員、先程の運転手と同じ白い狐の面をつけている。


まるで狐につままれて、あやかしの世界に迷いこんだかのような錯覚に陥る和葉。


「「玻玖様、和葉様。ご結婚おめでとうございます!」」


玻玖と和葉に対して、20人ほどの使用人たちが一斉に頭を下げる。

それはまるでからくり人形かのように、みなが同じタイミングで同じ動作をする。


「和葉も知っているとおり、俺に家族はいない。だから、この使用人たちが俺の家族みたいなものだ」