翌日。

和葉と玻玖の『呪結式』当日。


空はどんよりとしたくもり空だった。


呪結式が執り行われるのは、『紫峰院神宮(しほういんじんぐう)』という神社。

ここは、呪術にまつわる神が祀られているとされ、呪術家系の者であるならば、どれほど遠方であろうとだれしも一度は参拝にきたことのある有名な神社だ。


また呪術師にとって、呪結式の場を選ぶのであれば絶対に紫峰院神宮。


それほどまでに、紫峰院神宮は呪術師たちにとっては神聖な場であった。


呪結式は、最低限の親族のみで執り行われる。

つまり、黒百合家の親族としてやってきたのは貴一、八重、乙葉の3人。


一方、東雲家の親族はというと――。

…1人もいなかった。


玻玖には家族はおらず、他の跡取り候補がいないという話は本当のようだ。