それに続くように、八重も後ろから和葉の顔を覗き込む。


「そうね!たくさん褒めてあげなきゃね」


――“褒める”?


その言葉に、和葉の体が勝手に反応する。


言われたとおりにすれば、…褒めてくれるの?


たくさん、たくさん…。

乙葉よりも…ずっと?


頭をなでられ褒められる乙葉を陰からうらやましそうに見つめる自分の姿が、頭の中に浮かぶ和葉。


…わたしだって、褒められたい。

期待されて、やり遂げたい。


――この瞬間、和葉の瞳から光が消えた。


褒美はいらない。

わたしはただ、お父様とお母様から褒められたい。


愛されているという“証”がほしい。


それが歪んだ愛情だとさえわからない和葉は、愛情を欲するままにゆっくりと首を縦に振った。


こうして、和葉の唇に恐ろしい呪いがかけられたのだった。