それこそが、黒百合家。


黒百合家は最高峰の呪術家系と言われ、300年前に初めて神導位の座についてから、一度もその椅子を他の呪術師に譲ったことはない。


黒百合家は、だれもが知る最も財力と権力を持ち合わせた呪術家系なのだ。


呪術家系によって得意不得意の呪術があるとされているが、黒百合家の現当主である和葉と乙葉の父の貴一(きいち)は、現存するほぼすべての呪術を習得していると言われている。


八重は、実家が呪術家系でありながら医者家系でもあったことから、正の呪術の中でも最も取得が難しいとされる『治癒ノ術(ちゆのじゅつ)』を得意としている。


ある程度のケガであれば、八重が手を触れるだけで治してしまうのだ。

その八重の呪術を求めて、遠方遥々やってくる患者もいるほど。


そして、乙葉。