「そこで、考えたのだ。呪術が使えないのなら、呪術をかければいいとな」

「呪術を…かける…?」


震える声。

和葉の顔から徐々に血の気が引いていく。


「今からお前の唇に、『眠毒ノ術(ねむりどくのじゅつ)』をかける。口づけを交わせば、相手を死に至らしめるという高難易度の負の呪術だ」


『眠毒ノ術』とは、その術がかけられている対象のものに触れると体中に毒がまわり、突然眠ったように意識を失い、そのまま命を落としてしまうという即効性のある毒の呪術。


「し…、しかし――」

「心配するな。死の効果があるのは、わしが念じる対象者だけだ。つまり、お前自身や東雲以外には一切害はない」


恐ろしい計画内容だというのに、意気揚々と語る貴一。


「…フフッ。これで、東雲家も終わりね」

「お姉ちゃんってのろまなんだから、絶対に失敗しちゃダメよ〜?」