羽織ってみて、姿見の前で思わずはにかむ和葉。


たとう紙はだいぶ古いものではあるが、着物には染みひとつなかった。


すると、羽織った着物からなにかがヒラヒラと舞って床に落ちる。


拾い上げると、それは破れた紙だった。

裏返すと、そこには1人の男の姿が。


紙だと思ったそれは、どうやら写真のようだ。

この着物のもとの持ち主のものだろうか。


写真には、短髪の整った顔の男が写っている。

その隣にもだれかが写っているようだが、写真は真ん中で縦に割かれていた。


着物から落ちてきたのは、写真の右半分だけだった。


そのとき――。


コンコンッ


部屋のドアがノックされる音。


「はい」


和葉は羽織っていた着物をいったんかけて、返事をしてドアを開ける。

すると、そこに立っていたのは貴一だった。