「和葉お嬢様ったら、そんなことも知らずに東雲様と『デート』されていたのですか〜?」


使用人に茶化され、顔を真っ赤にする和葉。


「あ…あの、わたしは――」

「奥様に見つかったら叱られますので、私はそろそろ仕事に戻りますね」


『デート』というものについていろいろと聞きたかったというのに、使用人は慌てて行ってしまった。


その夜、和葉は今日1日のことを振り返っていた。


幼いころ以来の外出はただでさえ刺激的なものだったというのに、男性といっしょにという状況はそもそも経験がない。


しかも風変わりな玻玖と2人きりで、初めは戸惑った和葉。


貴一たちは、陰で玻玖を悪いようにしか言っていなかったから。

どんな極悪人だと勝手に想像していた。


それがいっしょに出かけたことで、玻玖のやさしさに触れることに。