「貴一さんから聞いている。和葉には呪術の力がないと。それを周りに知られないために、そういうことにされていたのだろう?」


その問いに、和葉は答えに迷いながらもゆっくりとうなずいた。


「…東雲様、ずっと疑問に思っていたのですが…」

「なんだ?」

「東雲様は、どうして嫁として呪術家系を継ぐ資格もないわたしをもらい受けてくださるのでしょうか…?」


思いきって、玻玖に尋ねてみる和葉。


「呪術師として優秀な妹の乙葉のほうが、東雲様の妻としてお役に立てるはずなのに…」


和葉はこの場で2つのことを考えていた。


1つは、もしここで玻玖が乙葉を選び直しさえすれば、貴一の計画が現実となる。

少しでも貴一の力になれるよう、玻玖の考えを変えさせたい。


そしてもう1つは、単純にただただ疑問だった。