「これが、アイスクリーム…!」


『アイスクリーム』という名前の食べ物のことは知っていた。

乙葉からもそれはおいしいお菓子だとは聞かされていたが、食べたのはこれが初めてだった。


「本来であれば、暑い夏の日に食べたほうが体が涼むが、こうして温かい部屋の中で食べるアイスクリームもまたうまいだろう?」

「…はい!」


まるでそのおいしさを確かめるかのように、何度も何度もスプーンですくっては口の中へと運ぶ。

目を輝かせ、不思議そうにアイスクリームを見つめる和葉。


その姿が新鮮で初々しく見えて、玻玖はクスッと小さく笑う。

それに気づいた和葉がアイスクリームを食べる手を止める。


「わ…わたし、なにかおかしなことでも――」

「いや、違う。アイスクリームにここまで喜んでもらえるとは思わなかったから、和葉のひとつひとつの仕草がかわいくてな」