しかしその中で、和葉が姿見に映る自分に思わず見とれる着物があった。


それは、小ぶりの花が無数にあしらわれた淡黄蘗色(うすきはだいろ)の着物だった。


「店主、これをもらおう」

「ありがとうございます」


ぼうっと見とれている間にそんな会話が聞こえてきたものだから、はっとして我に返る和葉。


「い…いけません、東雲様!こんな高価なもの、いただくわけには――」

「気にするな。今日、無理やり連れ出してしまったお詫びだ」


そう言って、勝手に着物を購入する玻玖。

そして和葉は、その場でその着物に着替えさせられることに。


使用人に1つまとめられた髪も下ろして、いつものような髪型に。


「うん。和葉、よく似合っている」

「そ…、そうでしょうか…?」


満足そうな表情の玻玖に、和葉は恥ずかしそうに手をもじもじさせる。