なにをしても乙葉のほうが上だということはわかっている。

だが、それを口にしてしまったら自分があまりにも惨めに感じてしまうから。


唇をキュッと噛む和葉。

その表情に気づいた玻玖は、和葉をある場所へと連れていった。


そこは、呉服屋。

目を引くような色とりどりの着物が並べられている。


「お着物をお探しで?」


和葉が尋ねると、玻玖はにっこりと笑った。


「店主。この娘に合う着物を探しているのだが」


それを聞いて、目を丸くして玻玖に顔を向ける和葉。


「…東雲様!?」

「和葉、気にするな。好きなものを選ぶといい」

「そ…そんな――」

「よろしく頼む、店主」

「かしこまりました」


遠慮する和葉のことは置いておいて、店主は次から次へと着物を和葉に着せる。


初めは困惑して、ただ出された着物を順番に着ていく着せ替え人形でしかなかった和葉。