「文…でございますか?」


首をかしげる和葉。

そんな和葉を玻玖は客間へ招く。


「前に和葉に文を送ったのだが、その返事がなくて…。嫌われたのではないかと心配になって、様子を見にきたんだ」

「あ…!あの文…!」


返事に困って出せていなかった玻玖からの文。

返すつもりではあったのだが、まだ一語も書けていなかった。


「申し訳ございません…!文などもらったことがなく、ど…どのように書けばいいのかと迷っておりまして…」

「そうだったのか。…それは、催促するようなことをして悪かった」

「…とんでもございません!」


和葉は驚いた。


自分のような者からの文を楽しみに待ってくれている人がいたことに。

しかも、それを待てずにこうして会いにきてくれるなんて。


「和葉。せっかくだから、デートに付き合ってほしいのだが…。いいか?」