しかし同時に、『扱いやすい聞き分けのいい子』とも捉え、最低限の安い褒め言葉を投げかけるのだった。


両親からの愛に飢えていた和葉にとっては、そのような言葉でさえも身にしみるほどうれしかった。


だからこそ、和葉は愛情を注がれたい一心に、両親の言いつけを素直に聞き入れる細々とした日々を送っていた。


呪術家系にとって、呪術を扱えない者は家族としても認めてもらうことができないのだ。


そもそも『呪術』とは――。

それは、選ばれた家系の者にのみ宿るとされる異能の一種。


呪術には2種類ある。


大なり小なり、人の助けとなったり社会や文化の発展に貢献するなど、人にとってプラスの働きをする呪術を『(せい)の呪術』。

人を肉体的に、または精神的に傷つけたり支配したり、人の生命を奪うなど人にとってマイナスの働きをする呪術を『()の呪術』。