「お願い、この子には……薫には、幸せになって────……ッ!」
これまで下腹部の痛みとは違う、まるで内側から全身を蝕む様な感覚に息が止まった。身体中が燃えるように熱いのに手の震えが止まらない。
訳が分からずただひたすら胸の中を悲しみと恐怖が支配する。
目の前が真っ暗になって力が抜けていく。
「宮司! 幸さまに呪いが……!」
力の抜けた手が隆永の手からするりと滑り布団の上に落ちた。
「幸! 幸!?」
薄れていく意識の中で、隆永が泣きそうな声で名前を呼ぶのを聞いた気がした。
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