社へ帰ってくる頃には外は暗くなっていた。真言の手を借りて車から降りる。
久しぶりの社は夏を前にして緑が濃くなっていた。
「部屋までお連れします。部屋の前には交代で見張りをつけさせましょう。皆には私から伝える形で良いですか」
「はい。お願いします」
真言に背を支えられて鳥居をくぐり、ゆっくりと社頭を歩いた。
「あ、真言さん。本殿に手を合わせてからでも────」
視線の先に立つ人物に目を見開いた。
「さ、ち……?」
久しぶりに見たその顔は明らかに疲れが滲んでいた。
「隆永さん……」
一本、二歩、とよろよろと前に出て、幸に駆け寄ろうとした。
しかし真言がそれを許さなかった。幸の前に立ちはだかり、隆永の肩を強く掴む。
「幸さまから離れてください」
「……一体どういうつもり、真言」
隆永は据わった目で真言を睨んだ。
「幸さまもお子達も私がお守りします」
その言葉に隆永が目を見開いた。