真言は宣言通り直ぐに迎えにきた。
別れ際、清志は険しい顔で幸を抱きしめると耳元で「いつでも連絡しろ、いつでも帰ってこい」と囁いた。
自分勝手でごめんね、清志を抱き締め返して真言の運転する車に乗り込んだ。
「まだ双子の事は私しか知りません」
「……そうですか」
「宮司は、お子たちを手にかけようとしたんですね」
「はい」
苦い顔を浮かべた。
「全て聞いた上で、幸さまは社へ戻る事を本当に選ばれるのですね」
「はい。この子達を産みます。産む時に何かあった時、やっぱり社の人たちの方が頼りになるから」
真言は泣きそうな顔をした。真言だけは嫁入りしてからずっと自分に親身になってくれた。
「私の命に変えて、ご出産まで幸さまをお守りします」
「ありがとうございます。頼りにしてます。無事に産まれたら、真言さんに名付け親になってもらおうかな」
「……光栄です」
運転席から鼻をすする音がして、窓の外に目を向けた。