死ぬ時は痛いんだろうか。眠るように死ねるのだろうか。

産まれてきたその瞬間、私が死んでしまったら二人目の子はどんな扱いを受けるんだろうか。

守ってくれる人はいるんだろうか? 何不自由なく、差別されることも無く、一人目の子と同じように色んな機会を与えられて、大人になることが出来るんだろうか。


本当にこの子は幸せになれるんだろうか。

幸せになれない未来しかないのだとしたら、隆永の言う通りにした方が良いのかもしれない。

ベッドの中で何度も何度もそんなことを考えた。


これからの未来が不安でしかない、怖くてたまらない。何も出来ない自分が悔しくて情けない。



「確かに、他とは違うって言われたら怖いし不安になるだろうなぁ」



俊典は幸の肩に手を乗せた。



「不安不安で、怖くて怖くてたまらない……でも、さっちゃんの心はもう決まっているんだろう?」

「え……?」



その言葉に顔を上げる。



「丈夫な赤ちゃんを産もうと、頑張ってるんだよね」



俊典は幸が手に持っていた先程の神事でお祓いをした腹巻と、ついでにかった安産祈願のお守りを指さした。

"丈夫な赤ちゃんが産まれますように"という願いが込められた腹帯なのだと、貰った説明書きに書いてあった。


お守りもは、そういえば貰ってばかりで自分では用意していないことを思い出して、前に隆永からお賽銭やお守りは自分で出すことに意味があるというのを聞いたから買っただけ。