次の日の昼過ぎに隆永がまたきた。けれど部屋のドアは鍵を閉めて布団に潜り耳を塞いだ。
隆永の呼びかけには答えなかった。
隆永が帰っていって、清志が部屋のドアを叩いた。重い身体を起こして、鍵を開けて顔を出す。
「飯、食うか」
ただそうとだけ言った清志の優しさに、言葉が出てこずただ頷いた。
それから神々廻家には帰らず実家で過ごした。毎日では無いが隆永は会いに来た。けれど、扉には鍵をかけて一度も会わなかった。
清志も何も言わない。何も言わないがその表情はいつも苦しげで、清志の考えも隆永と同じなんだと思った。
三日、十日、二十日と流れるように日は過ぎて腹も目立ち始める。
清志に付き添ってもらい五ヶ月目の検診に行った。
エコーで見たお腹の子は順調に育っている。嬉しくて愛おしくて、なのにずっと涙がこぼれた。