状況は理解していないけれど、ただならぬ雰囲気は察したらしい。

幸を守るように肩を抱きしめ、隆永を見据えた。


「話し合う気があるなら居間に来い」

「……話し合っても、多分理解して貰えないと思います」

「それは俺たちが判断する。でも、幸を泣かせるほどお前を追い詰めたその何かを、必ず一緒に背負ってやる」



隆永が泣いたのは、幸がプロポーズを受けいれた日以来だった。