「体弱いくせに、雨の日も雪の日もそれ握って百日間、欠かさず近所の神社に参拝したんだ」

「そんなに……」

「そんなに、じゃないだろ。それが出来るほど、お前のことを想ってたんだ」



慣れないことを言ったせいか、清志は耳を赤くしてテーブルの上に無造作においてあった新聞に顔を埋めた。



「ありがとう……これ、もらうね」

「ああ」


肌身離さず持っていれば、守ってもらえるような気がした。



「そしにしても、あいつはどうした」

「あはは、お父さんのそれ久しぶりに聞いた。何度か電話したんだけど出ないから、多分お仕事立て込んでるんだと思う。今日は隆永さんも泊まるって言ってたし、一緒に晩酌出来ると思うよ」


晩酌ができる、と聞いて自分が帰ってきた時よりも嬉しそうな声で「そうか」と返事をした清志。

やれやれ、と息を吐いて立ち上がる。ポケットに貰ったお守りを大切にしまって台所に戻ると、携帯電話がブルブルと震えた。


隆永からの着信だった。



「はいはーい、幸です」

『幸ごめん! 真言のバカに携帯没収されて、仕事終わるまで連絡取れなかった』

「そんな事だろうと思ったよ〜。じゃあもうこっち来れる?」

『ああ、超特急で行くよ。お義父さんにもそう伝えて。で、それで、どうだった!』