母子手帳もうひとつ貰ってきてくださいね、本日のお会計は、次回の予約は、と事務的なやり取りは淡々と終わり、迎えに来てくれた車に乗り込んだ。

呆然としながら窓の外を流れる景色を眺める。


赤ちゃん、双子。


何度もその言葉を頭の中で繰り返す。


新しい命が二人分も、このお腹の中に宿ってくれた。私たちのところに来てくれた。

繰り返していくうちに胸の中を締めていた驚きは、喜びと愛おしさに変わっていく。




そっか、双子ちゃん。双子ちゃんかぁ。

隆永さんのことだからきっとお揃いのものを沢山買ってくるに違いない。

お世話の量も二倍、きっと今よりも賑やかな毎日になるだろう。


この子達は一緒に遊んだり時には喧嘩したり、すぐ隣同士ですくすくと育って、お互いの一番の理解者になって一番の味方になって、良きライバルになって、支え合いながら励まし合いながら、やがて素敵な大人になっていくんだろう。


まだまだずっと先の事なのに、思い浮かべるだけで涙が出た。愛おしくて愛おしくてたまらない。


でもまず今は、生まれてきてくれればそれでいい。どうか無事に生まれてきて、その小さな手で私の手を握って。




目尻の涙を拭って窓から空を眺める。

少しだけ開けた窓から、心地よい風が吹き込んだ。