「────センセー、進路希望の紙持ってきたよ」
数日後の放課後に職員室を訪ねて、進路希望の紙を担任に突き出した。
やっとか、と呆れた顔で受け取った担任は、ざっと目を通して驚いた顔をした。
「本気か? 間違いなく向いてないぞ」
「ちょっと。流石に失礼じゃない?」
「でもお前教員って……」
第一希望は教員と書いた。二と三は何も書いてない。
「向いてないって言ってもさ、俺が他の社で神職やってる姿想像つく? 卒業時に本庁から声かかると思う?」
「……つかんな」
「でしょ? だったらまだ一番マシな選択にしただけ。じゃ、そういうことで」
ひらひらと手を振って職員室を後にした。
「あー……勉強しないとなぁ……」
大きく伸びをしてそう独りごちる。
神修で教員になるためには専科を卒業するまでに正階3級を取得しなければいけない。自分はまだ直階で、まず今年の冬の試験で正階の前に権正階を取得しなければならない。
のんびりと廊下を歩いていると、すっと隣に誰かが並んだ。
ちらりと目をやると嬉々だった。