「え……? でも今足音……」


暗闇に目を懲らす。やはり何も見えない。

「おかしいな」と前を向こうとしたその時、サクサクサクサク────とまた雪の上を走る足音が聞こえた。


確実に足音は近付いているはずなのに、何も見えない。

"嫌な感じ"がぶわりと大きくなり背筋を伝って鳥肌が立った。



「……っ、」



次の瞬間、脇目も振らずに走り出した。