いつもの場所、四人で放課後をすごした庭園の反橋の下。
見慣れた松葉色の制服の後ろ姿と、デニムに黒のポロシャツを身につけた人影を見つける。
「────芽ッ!!」
叫びは届いた。二人がゆっくりと振り返る。
「久しぶり、薫。元気にしてた? スマホ買ったんだってね」
ひらひらと手を振って、本当にいつもと同じように自分とそっくりな目を細めて微笑むその人物。
駆け寄ってそのまま胸ぐらを掴んだ。勢いよくぶつかって砂利の上に押し倒す。その上に馬乗りになって激しくその体を揺すった。
「何やってんだよ、芽ッ!!」
「いてて……下、砂利なんだから少しは手加減してよ」
「質問に答えなよ、お前のせいで何人もの神職が死んだんだ! 何、何馬鹿なことしてんだよ……ッ!」
唇を噛み締めた。鉄の味が滲んだ。
芽が胸ぐらを掴む自分の手首を掴んだ。
「馬鹿なこと……ね。本当に馬鹿なことだって思う? 俺が殺したそいつらは、宙一を殺した。志ようさまを殺した。大勢の神職や仲間を見殺しにした。そんな奴らが生きてる方が馬鹿らしいと思わないかな」
「でも、だからって何で……ッ」
「全部お前のためなんだよ、薫」
は? と困惑の声が漏れた。
芽が自分の胸を押して上半身を起こした。