「三日後。宙一と嬉々も」


ソライチトキキモ。

まるで知らない単語を初めて聞いた時のように、言葉と頭の中が繋がらず、ただその言葉を反復した。


「────は? 今、何て……」

「そのままだ。私とこの阿呆も三日後に発つ。大規模な掃討戦になるらしい。高等部の一年から三年まで動員されてる」



嬉々にしては珍しく噛み締めるように言葉を紡ぐ。揺らぎないその瞳を戸惑いながら見つめ返す。



「いやー、ビックリだよな! 俺自分で言うのもなんだけど阿呆じゃん? まさかこの俺まで必要とされるとは! もしくは宙一サマの真の力を見抜かれちゃった感じ?」



ずっと俯いていた宙一がぱっと顔を上げてケラケラと笑う。

笑っているとは言い難いほど強ばったその笑みにかける言葉が見つからない。



どろり、どろり────斎賀先生の訃報を聞いた日も薫へ空亡戦の任務が来た日も、その時に感じた粘着質な重いそれは確実に胸の中に広がって侵食していく。

重い風邪を引いた時のように胸が重くて、喉がつっかえて上手く息が出来ない。