それからあっという間に一週間が過ぎた。
薫はいつ呼び出されるか分からないと言っていたけれどもう暫くその兆しはなさそうで、今は自分たちと一緒に神修で授業を受けている。
毎日のように飛び込んできていた厳しい戦況の噂は晴れた日の沖合のように静かになった。
「だからー、そこはこの公式を当てはめて解くんだってば!」
「それで解いて答えが合わないんだって、さっきから言ってるでしょ」
「お前が計算ミスってるだけなんじゃね?」
数日前にまねきの社にも初雪が降って、その日以降は昼休みを教室の中で過ごしていた。
今日も昼休みを教室で過ごし、薫が授業を抜けていた分を補うための課題を皆で教え合っていた。
すっかり調子を取り戻した宙一がぎゃあぎゃあと騒ぎ立て、薫が迷惑そうに耳の穴に指を突っ込む。
「そもそも当てはめる公式が違うね。この問題の場合はこっち」
教科書をトンと指させば、薫が分かりやすく眉を釣りあげて宙一を睨む。
あれ〜おっかしいなぁ、とヘラヘラ笑って首の後ろを摩った宙一の頭に薫の教科書の角が降り注ぐ。