言祝ぎの子 参 ー国立神役修詞高等学校ー



薫が自分の肩を押した。もうとっくに力なんて入れていなくて、すとんと薫の上から降りる。

体を起こした薫はトンと自分の胸を叩いた。



「なんて顔してんの、別に死にに行くわけじゃないんだから」



薫が笑う。

自分は一体どんな顔をしているんだろうか。



「もう何処も安全な場所なんてないんだって。だからさ、宙一と嬉々のこと頼むね」



もう一度自分の胸を叩いた薫に項垂れる。


後ろにいたはずの薫が気が付けば横に並び、そして今日ついに、手が届かないほど先に行ってしまったような気がした。



どろり、胸の奥に少しづつ何かが広がっている。