「……おかしいよね。神社本庁から任務が降りてくる神職は18歳以上か、高等部を卒業した学生だよ。薫はいつ高等部卒業したの」
「卒業はしてないけど、今回は仕方ないんだって」
「仕方ない? まだ学生の、階級だって直階の、いち高校生が、空亡の修祓に向かわされることが仕方ないことなのか?」
手に力が入った。握る手のひらに爪が食い込む。
「人手が足りてないんだって。動ける学生はこれからどんどん声がかかるみたい」
「でも、だったらなんで薫なんだよッ!」
声を荒らげた自分に驚いたのか、薫が目を見開いて驚いた顔で自分を見ている。
落ち着けよ、と宙一が戸惑いながら自分の肩を引っ張った。
沢山の神職が対峙して次々と怪我を負って帰ってきている、帰らぬ人となった神職もいた。
そんな妖の修祓になぜ薫が選ばれる?
これまで散々、薫の力を恐れていたくせに。その力を使わせないように、薫の行動を制限していたくせに。
薫のことを虐げてきたのは敬遠してきたのは本庁の人間だ。
それなのに何故今となって、薫の力を必要とする?



