言祝ぎの子 参 ー国立神役修詞高等学校ー



二学期が始まって変わったことと言えば自分たちのクラス担任の後任がやっと決まった事くらいで、相変わらず授業は頻繁に休講になり、薫も実技の授業には参加させてもらえなかった。

でも少しずつ沈んでいた空気が浮上し始めていたある日、放課後に薫が担任から呼び出された。


宙一の部屋で映画を見る約束をしていたので「ごめん、先始めてて」と言った薫は、担任の後に続いて教室から出ていく。


用意だけ整えて宙一の部屋で薫が来るのを待っていると一時間ほど遅れて薫がやって来た。



「おー、遅かったな薫。今度は何やったんだよ? 罰則何ヶ月?」



靴を脱ぎながら薫が呆れたように息を吐いた。



「何かやらかして説教で呼び出されたって決めつけないでよね」

「それ以外に何があんだよ〜」

「宙一と一緒にするなっての。いいからほら、始めよう。今日何観るの?」

「アースウォーメンの4!」



じゃーん、とパッケージを見せた宙一。



「終わったら起こして」

「宙一、勉強机使っていい?」

「帰る」


座布団を枕にして横になった薫、本棚から教科書を抜き取って勉強机に向かう自分、そそくさと立ち上がった嬉々。

宙一は頬をひきつらせた。



「寝ようとするな勉強しようとするな帰るなーッ!」