言祝ぎの子 参 ー国立神役修詞高等学校ー



「────で、庭園の池で釣りをしたのはお前達だな?」


朝拝が終わって教室に戻って来ると、腕を組み仁王立ちでこちらを睨む担任が待ち構えていた。

げ、とお互いに顔を見合せると、一目散に教室の後ろの扉へ走り出す。



担任がすかさず懐から人形(ひとがた)を取り出してフッと息を吹きかけると、人形はもくもくと膨らんで逃げ出そうとした四人の体にへばりつく。

四人揃って抵抗する術なくばたんと床に倒れた。



「卑怯だぞ斎賀っちょ! 人形(ひとがた)はルール違反だろッ!」

「顔から転けたんですけど。危うく怪我するところでしたー」

「元はと言えば宙一が誘ってきたのが原因です」

「私を勘定に入れるな」



問答無用で拳骨が落ちてきて、騒いでいた四人は口を閉じる。

こめかみを押えて深いため息を吐くと、恨めしそうにこちらを見上げる四人を見下ろした。



「池の亀を釣る方がルール違反だ宙一。文句を言う前に自分の行いを省みろ薫。誘いに乗ったら同罪だ芽。頼むから傍観じゃなく止めてくれ嬉々」

「こいつらが私の制止を受け入れると思うか」



嬉々の冷静な問いかけに黙り込む。