「芽くんは、薫くんが大好きなんだね」
そうだ、自分は昔から薫が大好きだった。
弟として、家族として、自分の片割れとして。大切で大切で、物心ついた時から薫を守るのは自分なんだと思っていた。
でも、弟だから家族だから大好きだからという理由で薫を守ろうと思ったのかと聞かれると、そういうわけじゃないような気がする。
もっと無意識の、頭の奥底がそうしろと訴えかけているような感覚だった。
「弟思いのいいお兄ちゃんじゃない」
「そう、ですか?」
「こんな嘘つかないわよ。芽くんみたいな息子がいたら幸せだっただろうな〜」
しみじみとそう呟いた志よう。
頬が熱くなる感覚がして手の甲で口元を抑えた。



