「────白虎! 芽くんのお皿からお肉だけ取らないの! こら芽くんもピーマンよけない! バランスよく全部食べる!」
「取ってない」
「よけてません」
「ほんっとに貴方たちは、仲がいいのやら悪いのやら……」
自分の皿から白虎の皿へおかずを移した志ようは呆れたように息を吐いた。
社務所を兼ねた自宅へ通された芽は、志ように誘われ一緒に昼食を取る事になった。
昼食の献立は中華。料理好きな彼女はたまにこうしてご馳走になる度に様々な料理を出してくれた。
回鍋肉のピーマンを避けていたのを目敏く見つけられ、仕方なく一気に口の中に放り込む。
咀嚼する前にお茶で流し込めば、「えらいえらい」と目尻を下げた志ようと目が合った。
「ピーマンも食えんなんて情けない奴だな」
「白虎さまだって胡瓜食べれないでしょう」
「食べれないんじゃなくて食べないだけだ! 十二神使は胡瓜と相性が悪いんだ!」
どうだかと肩をすくめれば、白虎が目を釣り上げる。
「あー、もう。はいはい分かった。ご飯の時くらい喧嘩やめなさい」
熱が上がる前に志ようの仲裁が入って、お互い不満げな顔のまま白米を咀嚼する。



