「芽くん、今日平日だから学校あるよね? もしかしてサボり?」
「俺のことなんだと思ってるんですか。午後から休講になったんです」
「なんだ、年相応に男子高校生してるのかと思ったのに、やっぱり真面目くんだったか」
にしし、と自分より年上とは思えないあどけない笑みで悪戯っぽく笑った志ように芽はふいと目をそらす。
「ご飯食べた?」
「……まだです」
「駄目じゃない、育ち盛りなのに。私達も丁度これからだから一緒に食べよう」
返事の代わりにこくりと頷けば、遠慮なく頭ががしがしと撫でられる。
「白虎、芽くんのお茶碗出して〜」
不機嫌そうな顔でつかつかと先を歩いていった白虎の背中に志ようがそう声をかける。
「んなもんねぇやい」
「意地悪ばっかりしてたら、終いには穴から手突っ込んで奥歯ガタガタ言わせるわよ」
「ど、どこの穴から……?」
青い顔をした白虎が振り返る。
不敵に微笑んだ志ように「ヒッ」と息を飲むと、そそくさと社務所へかけていった。



