「芽は? もう食堂行ったの?」

「いんや、芽は審神者(さにわ)さまんトコ。休講になった瞬間飛んでったよ。休みになったってのに勉強しに行くとか、あいつ気持ち悪りぃよ」

「審神者さま……かむくらの社か」



芽は高等部に上がった頃から、かむくらの社の巫女で現審神者の奉日本(たかもと)()ようの所へ足繁く通っている。

自分とは違い言祝ぎのみを持ってして生まれた芽は芽でその力の扱いに苦労しているらしく、言祝ぎの力が強く性質が似ている審神者の元で、力の扱いを勉強しているらしい。



「嬉々と薫は飯食った後どーする? 神職も出払ってるし庭園の池で亀でも釣らね?」

「私を勘定に入れるな」



ノートに齧り付いていた嬉々が伸びた髪を邪魔そうにはらいながらそう言う。



「嬉々、髪伸びたな〜。そういや会った時から一回も切ったとこ見てないんだけど」



席に座りながら確かにと相槌を打つ。

初めてあった頃は肩上程度の長さだった髪は今や腰の位置まで伸びている。

手入れに興味は無いのか前髪も伸ばしっぱなしで、いつもどこかがほつれている。



「邪魔じゃないの、それ。この間だって漢方薬学の実験で燃えてたじゃん」

「別にどうなろうと構わん」

「あ、なら俺が切っていい?」

「触った瞬間手首ごとぶっ飛ばすぞ」