諦めた、なんて嘘だ。

ずっと居場所が欲しかった。誰にも否定されず、誰にも嫌われず、自分を認めてくれる居場所へ行きたかった。

その場所が、きっとここなんだ。



「お、おい薫? 泣くほど嫌なら無理して食うなよ……?」

「馬鹿、喜んでるんだよ」

「にしてはすげぇ勢いで泣いてねぇか?」

「もう宙一はちょっと黙ってて」



こそこそと話す二人に笑った。

濡れた頬を手の甲で拭って、自分は大丈夫だと首を振る。



「ありがとう」



心の底から出たその声は自然と言祝ぎの声だった。