それぞれのコップに飲み物が注がれて、宙一がオホンとわざとらしく咳払いをした。
「えー、皆さま。本日はお日柄もよく……」
「そういうのいいって。はい、では皆さんカンパーイ」
芽のゆるい掛け声とともに、こちんとコップが合わさる音が響いた。
身を乗り出した芽が自分のコップにこちんとあてる。おいーッ!と怒っていた宙一も慌てて座ってコップを合わせた。
あっ嬉々ポテチ二枚取りすんなよ、うるさいこっちは金出してんだよ阿呆、ねぇ誰サルミアッキ買ったの、オレオレ!後でマリカして罰ゲームに食おうぜ。
楽しそうに談笑を始めた三人とは反対に、コップを持ったまま固まる。
「薫? 何固まってんの? 後でお前からも金集めるから気にせず食えよ!」
ぎゃはは、と下品に笑った宙一が薫の紙皿の上に「ほれほれ」とお菓子を乗せていく。
山盛りになったチョコやクッキーを見下ろした。
「……ほんとに、何。これ」
「だから打ち上げだって言ってんだろー? 中学生は学校行事が終わったあと、お菓子持ち寄ってパーティーするもんなの! ほら、いいから食え!」
チョコチップクッキーを無理やり口の中に放り込まれた。仕方なく咀嚼すると口の中いっぱいに甘さが広がる。