「……これ何」
やっと覚醒した頭でそう問いかけると、宙一は得意げに胸を張って鼻を鳴らした。
「学校行事の後と言えば、"打ち上げ"だろ!」
「打ち、上げ……」
あれよあれよという間に部屋の中へ大量の買い物袋が運び込まれると布団の上から下ろされて、勝手に押し入れに片付けられる。
どこから持ってきたのか小さなダンボール箱を組み立てて部屋の真ん中に設置すると、買い物袋から次々とスナック菓子が出てくる。
テーブルもといダンボールを囲うように座布団が敷かれて、「ほらほら」と芽に促されその一枚に座った。
はい、と渡されたプラスチックのコップを反射的に受け取る。
各々が席に着くと、宙一がにししと笑って皆を見回す。
「まだ足りないものがあるんだよなぁ〜」
「何? しこたまお菓子買い込んだでしょ」
「いやいや芽くん。打ち上げと言ったらアレでしょ、アレ!」
じゃーん、と自分で効果音を付けて目の前に白い瓶を差し出した。
「なんと食堂から酒、盗んできました!」
いぇーい!とこれまた自分一人で盛り上がる宙一に、芽は瓶をひったくる。
ラベルをよく見てため息をこぼした。
「ただの甘酒じゃん」
「あーっ、お前"ただの"ってなんだよ! これ盗むの結構大変だったんだからな!?」
唇を尖らせた宙一は「お前にはやんなーい」と舌を出した。