ドンドン、ドンドン────と激しく何かが叩かれるような音に目が覚めた。
反射的に飛び起きて、まだはっきりしない頭で状況を確認する。
ドンドン、とまた叩く音がして、自分の部屋の扉が叩かれているのだと認識した。そして扉の外も騒がしい。
「あれ〜? 薫のやつ、俺らよりも先に帰ってたよな?」
「寄り道してるんじゃない?」
「芽電話しよろ、デ・ン・ワ!」
「薫は携帯持ってないよ」
「この文明社会で携帯持ってないのかよ!」
「何もかも非合理的だ私は帰るぞ」
「あーっ待てって嬉々! おっ、鍵空いてるじゃん!」
今度はガチャガチャと乱暴にドアノブが回って、部屋の扉が勢いよく開く。
一番に中へ飛び込んできた宙一と目が合った。
「いるじゃん! なんで無視したんだよ〜!」
駆け寄ってきた宙一が「この野郎〜」とご機嫌に自分の肩に手を回してきた。
まだ頭はぼんやりしているけれど、はっきりと苛立ちは覚える。宙一の顔面を掴んでひき剥がしていると、芽がドアから顔をのぞかせた。
「ごめん薫、もしかして寝てた?」
「おいさっさと手伝え」
そう言いながら大きく膨らんだ買い物袋をガサガサと部屋の中へ運び込む芽と嬉々。