皆が紡いだのは神社拝詞、自分が次に奏上しようとした祝詞、御祭神に感謝と祈りを捧げる祝詞だ。
芽の明朗で伸びやかな声と、宙一の拙いながらも力強い声と、嬉々の低くも柔らかい声が絡み合う。
それはまるでいくつもの楽器で音を奏でているように美しい旋律だった。
涙が溢れそうだった。似たような優しい音を知っている。どこまでも優しくて心地よいその音を、小さな頃からずっと傍で聞いてきた。
最後の一語が紡がれれば、激しく音を立てていた社の扉が静まった。二匹の狛犬はまるで最初からそこにいたかのようにすました顔で社を守っている。
目の前で何が起きたか分かっていないのか呆然とした四人組は、腰が抜けたのかその場に尻もちを着いた。
「あなた達、何をしているんですか!」
夕拝が終わって本殿から出てきた禰宜頭が、血相を変えて走ってきた。
初めからその場にいた自分に自然と視線が集まる。簡単に事の顛末を話せば、禰宜頭はこめかみを抑えて苦い顔をした。
すっかり腰が抜けた四人組は何人かの神職に脇を支えられて、囚われた宇宙人のように外へ連れ出される。
詳しい事情聴取は明日になって、今度こそやっと帰路に着いた。