苛立ちを隠さなくなった芽と、頼んでもいないのに間を取り持とうとして空回りし芽に睨まれる宙一、初日から我関せずを貫く嬉々に変わらず黙々と手を動かす自分。
会議室の雰囲気は明らかに悪くなった。
雑談もなくなって、そわそわしながら喋りたそうにこちらを伺う宙一の視線を無視する。
はあ、と大きなため息をついた宙一は嬉々に「黙れ」とひと睨みされて余計に縮こまった。
気まずい時間はいつもよりもゆっくりと過ぎていき、こんこん、と会議室がノックされて巫女頭が顔をのぞかせた。
「皆さんそろそろ本殿でご挨拶して終わりにしてくださいね。あと、どなたかひとりでいいので、昨日までの分の在庫整理を手伝って頂きたいんですけど」
時計を見上げた。奉仕終了の五分前だ。手伝えば間違いなく五分では終わらない。
全員が露骨に目を逸らし、自分だけが遅れを取った。
しっかり巫女頭と目が合って、巫女頭がにっこり微笑む。
「それじゃあ薫さん、お願いします」
「…………はい」
かなり渋って返事をすると重い腰を上げ立ち上がった。