「今日はやけに俺に興味持ってくれるね。嬉しいなぁ。惚れた?」 「またそんな事を……まだ全然惚れてません」 「"まだ"?」 意地悪かとは思いつつ揚げ足を取れば、案の定幸は目元を赤くして隆永の背をポカポカと叩いた。 「"まだ"も"これから"もありません!」 「あはは、この城を攻め落とすにはもう少し時間がかかりそうだね」 馬鹿ばっかり言ってないでさっさと歩く!と彼女は大股で先を行く。 小さく肩をすくめて幸の背中を追いかけた。