無表情で手を伸ばした嬉々が宙一の髪を鷲掴みにして勢いよく引っ張る。
いでぇ!と悲鳴をあげた宙一が身を捩り蹲る。ブチブチ、と毛が数本抜ける音がして「俺の毛がァッ……」と弱々しい声で抗議する。
「安心しろ有意義に使ってやる丁度今藁人形の呪と人毛についての因果関係を研究しているところだ」
「めちゃくちゃ俺呪う気じゃんッ!」
「役に立って呪われるんだ名誉の呪いだろ」
「名誉の負傷みたいに言うなよッ」
喚く宙一を一瞥して詰め終わった木箱を持って立ち上がった。
騒ぐ二人にくすくすと笑っていた芽がそれに気付いて「手伝おうか」と腰を浮かせた。
いい、と端的に返事をして後ろ手に扉を閉めた。