「でもお前ら泣いてたじゃん!」

「退屈すぎて欠伸が出たんだよ」

「ったく、全然分かってねぇな〜」



どうやら自分以外の三人はその映画を一緒に観に行ったことがあるらしい。

なんだよ、と膨れて机に頬杖をついた宙一と目が合って、逃げるように目を逸らす。



「薫は興味あるよな!? 1と2のDVD貸してやるから3一緒に観に行こうぜ!」

「……興味無い」

「オッケー! 放課後お前の部屋に持ってくなー!」



人の話を聞かずに話を進める宙一。映画の後は町中華を食べて帰ることになった。

職場体験の話で盛り上がる芽たちから視線を逸らして窓の外を眺める。


頼んでもないし、とりわけ仲がいい訳でもない。ただこの場所にいるだけなのに、どうして当たり前のように自分を頭数に入れるんだろう。

芽が自分に干渉するのは兄弟という血の繋がりがあるからだ。でも宙一は違う、ただの赤の他人だ。

煩いし迷惑だし鬱陶しい、けどそれ以上に宙一が自分を輪に引き入れようとすることが不思議でしょうがなかった。