「────……職場体験?」
「うん。高等部は一月から二月の末まで二ヶ月間泊まり込みで神社実習って言うのがあるんだけど、俺らはその縮小版で一週間の職場体験があるんだよ」
薫は今朝配られたプリントを見下ろした。
週明けから職場体験というのが始まるらしく、その概要が記されたプリントだった。
その週は学校での授業が一切なく、決められた神社での奉仕活動を行うらしい。
「去年は俺ら大外れだったよな〜。折角堂々と学校から抜け出せる期間なのに、奉仕先がまねきの社って! ここじゃん!」
「抽選だから仕方ないよ。最近どこの社も忙しくて、学生の面倒を見てる暇がないんだって」
どうやら自分以外のメンバーは去年も職場体験へ行ったらしい。
「ひたすら見学してちょこっと手伝うだけだから、全然大変じゃないよ。中等部は泊まり込みじゃないから毎回帰って来れるし」
「帰りに映画観に行こうぜ! 来週から『アースウォーメン』の3が公開されるんだって!」
「やだよ、あれ面白くなかったし。宙一がオススメだって言うから一緒に観に行ってやったのに。ねぇ、嬉々?」
「絶対に私を頭数に入れるなよあんなクソつまらん映画二度と観るものか金の無駄だ」
珍しく嬉々が口を挟む。