【あけましておめでとうございます。寒い日が続いてるけど、元気にしてますか。禄輪さんにもよろしくお伝えください。また学校で】

達筆でお手本のような丁寧な字は芽のものだ。


【やっほー薫! あけおめことよろ! 冬休みはどっか遊びに行った? お土産期待してま〜す! あと休み明けに宿題写させて〜】

読みにくい汚い字に文面ですら軽薄さを感じるのは間違いなく宙一だろう。


【謹賀新年 素晴らしい一年でありますよう心からお祈りいたします。今年もよろしくお願いいたします。】

手書きではなく印刷された既製品で、玉富嬉々という名前だけが手書きだった。間違いなく嫌々かついでに送ってきたのだと分かる。




三者三様の個性の出た年賀状だった。


「もう友達できたんだな。薫は送ったのか?」

「……送ってない」

「そりゃいかんな。後で持ってきてあげるから、書いて出しなさい。じゃあ稽古始めるか」


立ち上がった禄輪にバレないように溜息を零すと年賀状を引き出しの奥にしまった。